作りたくてやまない色
きっと彼の人生の中で何度も語られてきた、あおという色。
彼とは、「あお」です。
青で、蒼で、碧で。
あらわされる相手が草か石か人か、
はたまた「色」なのかで漢字が変わるらしい。
今目の前にターコイズのペンダントがあって
碧と緑を混ぜた水色をしているのだけれど、
その中には茶色や黒やもやもやがいる。
どこまでが「しっかり」青いかと問われてもわからない。
海の色で、空の色で、色んな人に愛される色。
どの色がいつどこでだれに愛されるかは、
優劣はなく十人十色なのでしょう。
青いバラは、「どうしても!」と作られたのだから
見たことのないものをつくる野心はものづくりのエネルギー源なのかも
しれません。
自然の色が持つゆらぎは、永遠にこえられない。
「それ」自身が生きていれば可能かもしれない。
色は、2Dではなく、3Dであるように思う。
限りなく平べったく表面にとどまるように見えたとしても。
その絵の具が乗っかっている紙を透かす光、表面のでこぼこ、
塗られた車の奥の金属に、塗装の中の粉に乱反射する光のゆらぎ、
陶器の表面の釉薬の厚みに含まれた光と、地の土に浸透する安定感。
どこまでも追求される、その生きている色、
そして反抗するように平べったい色に対する愛。
そして色は、「光がなくてはわからない」あやふやなものであるということ。
作りたい衝動と、自然には勝てないという安定した絶望感は、
作り手に、いのちを吹き込もうとさせるのかもしれません。
あなたの「衝動の種」はなんですか?