ぱからん、はからん

ものつくりの、ものかき。

宿でゴロゴロしていてもいい

「旅はひとりがいいです」

 

昔お世話になった方が、ふと言ったひと言。

どういう意味で言ったのかはわからないけれど、

どうしても忘れられず印象に残っていることば。

それから、何が違うんだろうと考えるようになった。

 

誰かと行く旅は、その「誰か」との記憶になる。

つながりが変わったり、深まったり、気付けたり。

 

 ひとり旅は、その「場所と自分」との記憶になる。

 

私は国内も海外もだいたいひとりで旅に出ます。

一番最初はそわそわしたけれど、

それを越したら、感覚が澄んでくる。

 

ひとり旅は、とてもゆっくりできるし、忙しくも出来る。

誰かが決めたルールも目安もやぶっていい。

「せっかくだから行かなきゃいけない」場所もない。

幾度かためしてみると、自分の心地よいポイントがわかる。

 

食べる早さや、

どんなところで過ごしたくて、

どこに時間をかけたいのか。

何に感覚を澄ますのか、

何をしている時間が幸せなのか。

 

予定をきっちり立てたいのか、

何も決めずに出会いや直感を信じて動くのが好きなのか。

 

ホステルのリビングでゴロゴロしていたって、

一時間半かけてゆっくりごはんを食べたって、

三時間公園に座ってただスケッチをしていたって、

ひたすら浜辺で漂流物をひろっていたって、

やたら早く寝たって誰も文句は言わない。

 

見えてくるのは、誰にも合わせていないときの自分。

 

新しい土地で逢う人は、あなたのことを知らない。

ちょっと違う自分になってみることもできる。

こうなりたい自分を演じてみることも出来る。

それは偽りじゃなくて、新しい場所が見せてくれた自分。

 

海外のひとり旅は、こわいこともある。

自分のいのちの責任を、自分で負う覚悟も必要です。

そのかわり、ふと助けてくれた人との出逢いは、

とびきりあたたかい。

 

ひとりでいたいときはいればいい。

なんにもしなくてもいい。

ホステルの相部屋で一緒になった人に話しかけてもいいし、

そしてそのまま食事に行ってもいい。

道であった人と意気投合して、次の日また会うのだってあり。

会ったことのない「会いたい人」に思い切って連絡してみてもいい。

レストランで寂しくなったら、カウンターでお店の人と話すのもいい。

次は一緒に来れたらな、と思い浮かんだ人には手紙を贈ってもいい。 

 

意気込む必要は全くなくて、

最初は「誘った人が行けなかったから」なんて

単純な理由だっていい、ひとり旅。

 

 

あなたはひとりでどこに行きたいですか?

そしてそこでどんな自分を感じていますか?