ぱからん、はからん

ものつくりの、ものかき。

一分くらいは、あげられるかも

めかぶから始まった、嬉しい出来事。

相手を「すこし」受け入れること。

 

Natural Naturalという日本のスーパーが帰り道にある。

店員さんも全員日本人で、私にとってはリトルジャパン。

日本の野菜、薄切り肉もあって、オーガニック食品の品揃えもいい。

 

七時前に帰れた日には、

ここぞとばかりに夕食の材料を買いに立ち寄る。

 

さて

プレゼンを終えた今日の夕方は、

疲れきっていて何が食べたいかも浮かばなかった。

 

でも、地下鉄で揺られていると

めかぶを食べたい!」

という思いがむくむくしてきた。

 

めかぶを買える場所は、

そのスーパーしかない。

駅に降りたのが、6時58分。

半ばあきらめかけつつも、

めかぶのために猛ダッシュ。

 

半分シャッターが閉まって店じまいをしているところ、

「ちょっとだけ!お願いします!」

と滑り込んだ。

文字通り30秒もかけずに、めかぶとオクラとお刺身を選んだ。

 

するとレジを打ってくれたお兄さんから

 

「お仕事帰りですか?」

という、笑顔のひと言をかけてもらって、

食欲もうばっていた疲れが吹き飛んだ。

 

ロンドンでは、閉店時間の10分くらいにしまるお店も少なくない。

懇願すればごくまれに入れてくれるけれども、

おかまいなしの「NO」で終わることが標準だ。

 

お店側からしたら、たくさんいるお客さんのうちのただひとり。

店じまい中に入れてあげる義務もない。

たとえ入れなかったとしても、

遅れたのは自分だししょうがない、とあきらめていたと思う。

 

それでも今夜、その一分を許されただけで、

私はめかぶを食べられる幸せと、

店員さんの優しい言葉にうるおって、

 

「どうしても買いたかったんです、ありがとうございます。また来ます!」

と喜びを伝えて帰ってきた。

 

この出来事は、店員と客だった。

だから「日本人の接客はすばらしい!」とまとめることも出来る。

 

でももう少し掘り下げたときに、

 

忙しいときの誰かの「お願い」を受け入れることについて考えた。

自分もいっぱいいっぱいの時に、

そのほかのことを受け入れる余裕を持つのは難しい。

お人好しにしすぎて、自分のことが出来なくなるのもつらい。

 

でも、今日の出来事で、

本当にその「一分」が、

一二を争う状況じゃない限り、

少し相手のことを考えてみられるかもしれない、と思った。

 

きっとその店員さんは

「仕事が遅くなって、ギリギリになってしまったんだろう」

という心遣いでその言葉をくれたように思う。

 

以前何かの記事で、

「部下に話しかけられたときに、仕事の手を止めて相手に体を向けるかどうか」で、

上司部下の関係性が変ってくるという話を読んだのを思い出した。

 

プレゼン前に必死にスタジオを駆け回っていた自分も思い出しながら、

誰かのちょっとした助けにどれだけ救われたかを思い出して、

 

誰かのお願いに、体と耳をすこし傾けてみようと思う。

 

 

「その人に、すこしだけあげられる時間はありますか?」

 

 

今日もおつきあい頂きありがとうございました♪