もう溶けかけた「できる」の粒
「呼吸をするように出来ることを増やす」
〈空に溶けていくひこうきぐも〉
この考え方に出会ったとき、
最初はよくわからなかった。
それが、だんだんと消化できてきた。
自然にできるようになったとき、
もうそれは自分の一部になっている。
だから「出来るようになった」とさえ
意識しないかもしれない。
何もすべてが特別である必要はない。
1キロしか走れなかったのが、6キロ走れるようになったとか、
わかりやすく格好つく必要はない。
新しい場所に越してきて、
今はその道を何も考えずに毎日歩けるようになることも、
その中の一つ。
逆を返せば、
今の自分が「出来てない」と思うことがあるのは、
そのまえの「出来ている」の上にじつは成り立っていること。
今出来てないことは、
少し前を振り返れば、
「想像もできない」ことだったかもしれない。
それが今や具体的なものとして、
手応えを感じていること。
出来るようになったことは、
それはもう呼吸になっていて、
おなじ密度で、自分の中に溶けている。
それを増やすこと。
そして、
その透明になりかけた自分のバージョンアップを
ほめてにやにやしてみると、
今の「出来てない」がそのうちにどうなっていくかが
楽しみになりそうです。